あの夜、みんな一言もしゃべらず、手にある楽器心地よく鳴らして、静かに港へ歩いた。
港についたら、船と船が波の上でゆらりゆられてきしむ音。
前日はトランペットのように、獣のようにきこえ、あの日ははそれに比べ、穏やかだった。
みんながセッションするにはちょうどよかった。
風の強さが気になったけど、タコつぼに入れて録音。
見えない。
見えないからいい。時もある。
きこえる音がある。
島にきて、初めて。
こんな静かな港。
そして、見つけたいい響き。何かわからない大きなお鍋を反対にしたみたいな形。
叩いてみるといい響き。
個々の楽器と船音とボールの響き。静まり返った港で演奏会。
夜風に吹かれて特別な夜だった。